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2022/9/15/
初めまして.
株式会社凌芸舎でエンジニアとして働いている相生ゆら(@Little_Rubyist)です.
普段は Rails を使って社内で使うアプリなどを開発しています.
初めて触った言語であるRubyを親と思っています.好きなmethodはmapとnil?です.
会場に着くとrubykaigiのロゴが出迎えてくれました.
私は2019年から仕事でRubyを使っているのですが,Rubykaigi自体は初参加でした.もちろん現地に行くのも初めてです.
2019年には福岡でRubykaigiが開催されていたので本当は行こうかなと思っていたのですが、金銭的な面が理由でいけませんでした….
今回は会社が交通費や宿泊費、参加費を出してくれたので何も気にせずに行けました.ありがとうございます.
2019年でも見かけたスポンサーブースのスタンプラリー.集めるとピンバッチが貰えます.
メインセッションが発表されるグランドホール.感染拡大予防の為,席間を開けるなどの対策が取られました.
– 自分の好きな分野を再確認できた
– インターネット上でしか話せなかった人たちと会えた
– 新しい交友関係が増えた
– 研究モチベが高まった
事前にESMさんのRubykaigi徹底解説に参加しており,プロポーザルの内容と小話を聞いた上でセッションをどのように攻めていくかセトリを作っていました.
気になった内容をセトリに入れているので当然どれも興味がある分野なのですが,その中でも更に興味が湧いたり自分で研究したいネタを思いついたりすることで自分の深堀りするべき分野が明確化されました.
良かったセッションを少しご紹介します.
– Ruby meets WebAssembly / Yuta Saito
Ruby3.2から入るWASMの話です.これが入ることでブラウザでRubyを動かすことが出来るようになり,「ちょっと試したいけど環境構築を1からやるのは…」とか,「Ruby を触ってない人に試してみてもらいたいけど環境構築で詰まると辛い」みたいな問題を解消できます.
自分のコードを動かせる環境を公開したい場合などにもクライアント側でRubyを動かせるようになるのでサーバーの用意が不要になります.
kateiさんがhttps://irb-wasm.vercel.app/に試せる環境を用意してくれているので興味のある方は是非触ってみてください.
gemもインストール出来ます.
Rubyがブラウザで動くという分かりやすい進化感に感動していたところにCのコードやアセンブラのコードが出てきて.Rubykaigiっぽさを感じました.
また、CookpadさんがWASMを使ってRuby クイズを公開しているのでこちらも遊んでみてください.
– Types teaches success, what will we do?
– Adding Type Signatures into Ruby Docs
– RBS generation framework using Rack architecture
– Let’s collect type info during Ruby running and automaticall
今回は型の話が本当にたくさんありました(soutaroさんの話もありましたがドキュメントの話も聞きたかったので現地では諦めました).
上から順に.
gem_rbs_collectionへのcontributeのススメ
Rubyのドキュメントに型を表示してドキュメントを丁寧にする話
下2つがどちらも型の自動生成のお話です.
contributeのススメはかなりわかりやすくcontributeの流れを説明していて,contributeの敷居が下がったんじゃないかなと思います.
(実際,発表されたDay1の夜にはいくつかPRが来ていたようでした)
gemの追加をする時も自分が使う部分だけ型追加するのでよい.と言われて,それなら自分にメリットがあるしやりやすいですよね.
gemに実装されているmethodを網羅してPRを出すのは重たいし,何より面倒です.
私はActiveInteractionが好きなのでActiveInteractionについてPR出来たらいいなと思っています.
また、型周りでは自動生成の話が個人的には一番興味深く,「刺さった」と言えるでしょう.
「型は便利だけど書くのは面倒.型の恩恵だけ享受したい」ので自動生成がしたいというのは皆が思っていることのようです.
型の自動生成はTypeprofが既にありますが,動的生成されるmethodに対応していなかったり,untypedで作られてしまったりして問題点が多くあります.
自動生成についてはksssさんのgemがかなり良さそうなのでこれをベースにして何か出来ないかと少し考えています.
ぼんやり考えているのは型とテストをいい感じにつなぎ込めないか.という話です.
テスト駆動開発をする際に間に型を組み込んでより良い感じにしたい.みたいな事を考えているんですが,まだ発想段階なので実際に出来るかは分かりません.頑張ってみます.
– Matz keynote
Rubyのパパ,Matzの基調講演です.
技術的な話が入っているわけではないのですが,Matzの話を聞くと毎回モチベがとても上がります.
Matzには結構な頻度で「お気持ち」が届くらしく,暗に「Ruby がなければ世界はもっと良くなる」とまで言われたこともあるらしいです.
毎年のように「Ruby is dead」と言われるのと同じですね.
Rubyはコミュニティの力がとても大きな言語であるというのはどうやら皆共通で思っていることらしく,そこがRuby の良いところでもあるので伸ばしていこう.コミュニティ全体で色々改善していけばRubyはもっと良くなって,「Ruby がなければ」なんて言われなくなるだろう.というのがとても心に響きました.
コミュニティの一部としてもっと貢献していきたいと強く思わせられる基調講演でした.
講演の中ではRuby3.xでは文法をあまり変えないでツール周りを整えてもっと開発していくつもりだという話もありました.
ツール周りについてはWASMもそうですし,Rubocopやsteepなんかもそうですね.
この開発のしやすさという観点は自分の中でもかなり比重の大きな話題なのでしっかり追っていきたいなと思っているし,そういう意味でRuby3.xは自分にとって大切なバージョンアップになるかもしれません.
Ruby Commiter vs The worldでRubyの今後について熱いバトルを繰り広げたCommiter達
会期中に突発的に開催される自作キーボードkaigiの様子.来年は私も持っていきたいです.
コロナ禍でカンファレンスを含む色々なイベントがかなり減ったと思います.
日常的な話でいうと花火大会なんかもまだ開催を見送っているところが多いですね.
私や私の周りの人達はインターネット上の関係も比重を大きく見ている人が多く,もくもく会をオンラインで開催したりしていて交流が絶えることはありませんでした.
フルリモートが推奨されるようになったことでむしろ勤務環境が良くなったという良い一面もあるかと思います.
ですがやっぱり現地で顔を合わせることはオンライン上で会話することとは全く違う良さがありました.
オフライン開催が出来て本当に良かったと思います.
知り合いに声をかけると近くに相手の知り合いがいて,みたいなことが多発して,かなり交友関係が広がりました.
Twitterのフォロワーでいうと20-30人くらいは増えたんじゃないでしょうか.
アイコンを見たことあると言ってくれる人もそれなりにいて,コミュニティで発言していて良かったです.
今まで個人で開発する場合は大体欲しいWebAppを自分で開発して適当にリリースするだけでした.
今回はもっと低レイヤの「楽に開発していくためにはどうしたらいいか」というところに意識が向けられました.先述のとおり型に興味が湧いているので,型の分野から色々展開出来たらいいなと思っています.
また、今回は触れていませんがドキュメント周りももっと貢献していきたいです.
ドキュメントについてはるりまに参加しようかと思っているので興味のある方は見てみてください.
speakerやcommiterがサインを書いていました,私もspeakerになって書いてみたいですね.
自分はまだまだ技術者としては未熟で,今回のカンファレンスでも分からないことが本当に沢山あったのですが,自分の出来るところから少しずつcontributeしてコミュニティに貢献していけたらいいなと思っています.
Rubyは国産言語なので日本語ドキュメントが豊富な上,日本コミュニティがとても活発なのでかなり恵まれた環境なんだと思います.
Rubyに一番最初に触れられてよかったです.
Rubyが好きで,Rubyコミュニティも好きなので,これからもRubyとコミュニティがよりよいものになるように少しでもお手伝いが出来たら幸いです.
そしてRubyで世界がよりよいものになるともっと素敵ですね.
次回は5月に松本でお会いしましょう!
凌芸舎ではRubyを使って世界をよりよいものにしていくために一緒に働いてくれる人を募集しています.
人が少ない分かなり自由にRBSを導入したりRubocopを導入したりしているのですが,まだ知識不足な部分もあって手探り状態です.
気になるgemを導入してみたり,ぼくだけのさいきょうのRubocopを作ってみたり,アーキテクチャを選んでみたり,かなり自由度の高い開発が出来るかと思います.
興味のある方は是非弊社の採用ページからご連絡ください.
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